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第1週 Studioを動かす:インストールから、最初のプロセスまで

12週のUiPath開発者育成計画の第1週。Community版Studioのインストール、UiPath製品の全体像、変数・式(VB.NET)・制御フロー・ファイル操作を学び、ファイルの仕分けプロセスを自分で作る。

約34分で読めます

第1週 Studioを動かす:インストールから、最初のプロセスまで

12週の育成計画の第1週。この週のゴールは、Studioを開き、変数と制御フローを使った小さなプロセスを、ひとりで作って実行できるようになることである。

対象は、技術経験がなく、UiPathを初めて触る人である。全体の計画は「ゼロから12週でUiPath開発者になる」を参照する。

注意: 画面、アクティビティ名、Academyのコース名は、UiPathの更新で変わる。手順通りに見えない場合は、公式ドキュメントを基準にする。

1. この週のねらい

項目内容
テーマStudioを動かす
学ぶことCommunity版のインストール、UiPath製品の全体像、変数・式(VB.NET)・制御フロー、ファイル操作
ハンズオン課題フォルダ内のファイルを、拡張子ごとに別フォルダへ仕分けるプロセス
完了条件仕分けのプロセスを、何も見ずに作り直して実行できる
決めること顧客資料の取り扱いルール(AIに渡してよい範囲、マスクの手順)をmentorと決める

この週の進め方は3つだけ。

  • 手が先:新しい概念は、先に自分で作る。Claude Codeに聞くのはその後にする
  • 毎日説明する:1日の終わりに、作ったものを口頭で説明する(mentorに、または自分に)
  • 最後に作り直す:週の終わりに、ハンズオン課題を最初から作り直す

2. 事前準備

2.1 必要なもの

  • Windows PC(Studio DesktopはWindowsのみ。Macでは動かない)
  • メールアドレス(UiPathとAnthropicのアカウント登録に使う)
  • Node.js(Claude Codeのインストールに使う)
  • Claude Codeを使うためのAnthropicのアカウント

2.2 ライセンスを確認する

この週は、無料のCommunity版を使う。Community版は、個人・学生・小規模事業者向けとされている。客先案件で使う場合は、ライセンスの条件を別途確認する。

3. 週の流れ

日UiPathIT基礎Coding Agent
1インストール、製品の全体像、最初のプロセスOS、ファイルシステムClaude Codeのインストール、機密ルールの確認
2変数とデータ型、式(VB.NET)パス(絶対パスと相対パス)答えではなくヒントをもらう頼み方
3条件分岐(If、Switch)コマンドライン(cd、dir)エラーを自分で読んでから聞く
4繰り返し(For Each、While)、ファイル操作拡張子、環境変数作ったものの説明を、AIに聞いてもらう
5ハンズオン課題の仕上げ、振り返り週の整理使った指示文の記録

5日間の流れ。

時間の目安は、UiPath約31時間、IT基礎約4時間、振り返り・mentor約5時間。Academyの受講は、UiPathの時間に含む。

4. UiPath Line

4.1 学習点

  • 環境:Studioのインストール、Automation Cloudのアカウント作成、Studioからの接続
  • 画面:デザイナー、アクティビティ、プロパティ、変数、アウトプットの各パネル
  • プロジェクト:新規プロセスの作成、実行とデバッグ実行、SequenceとFlowchartの違い
  • 基本アクティビティ:Assign、Message Box、Log Message
  • 変数とデータ型:String、Int32、Boolean、DateTime、Array、List、Dictionary、変数のスコープ
  • 式(VB.NET):Assignの右辺の書き方、文字列の連結、型の変換(CStr、CInt、.ToString)。プロジェクトの式言語は作成時に決まり、あとから変えられない(初期値はVB.NET)
  • 制御フロー:If、Switch、For Each、While、Do While
  • ファイル操作の基礎:Path Exists、Create Directory、Copy File、Move File、For Each File in Folder

4.2 Academyで受けるコース

日本語プラン「RPA デベロッパー 基礎」(全21コース、40時間33分)から、次の5コースを週のあいだに受ける。合計は約6時間25分。

2つのコースには、今のStudioの画面に近い日本語の新しい版がある。修了証が要らなければ、新しい版を優先する。

旧版新しい版
Studio による初めてのプロセス開発UiPath を使用した最初のオートメーション開発(2024.10 バージョン)(1時間)
Studio での変数および引数Studio での変数、定数、引数(1時間30分)

Academyは「講義」で、手を動かすのはハンズオン課題である。受講した日に、同じ機能を自分で使い直す。

ファイル操作の補足として、Studio でのファイル、フォルダー操作の自動化 (v2021.10)(1時間5分)も、ハンズオン課題の前に受けておくとよい。

コースの検索は、コースの一覧で、言語のフィルターを日本語にして行う。

4.3 Community版をインストールする

日1に行う。Community版は無料で、使えるのは最新版のみ。インストール後は自動更新される。

1. アカウントを作る

UiPath Developers のページから、無料アカウントを登録する(クレジットカードは不要)。届いたメールで認証し、Automation Cloud(cloud.uipath.com)にサインインする。初回は、組織名などの入力を求められるので、画面の指示に従う。

2. インストーラーをダウンロードする

Automation Cloudにサインイン
→ ヘルプ(?)メニュー
→ Downloads(またはResource Center)
→ UiPathStudioCommunity.msi をダウンロード

ダウンロードが止まる、または失敗するときは、ChromeかEdgeで試す。

3. インストールする

UiPathStudioCommunity.msi をダブルクリック
→ ライセンス契約に同意
→ Quick を選んで Install
→ 完了したら Launch UiPath Studio

Quickは、ユーザー単位のインストールで、管理者権限が要らない(インストール先は %LocalAppData%\Programs)。

4. サインインして、ライセンスを有効にする

Studioが起動したら、Automation Cloudのアカウントでサインインする(ブラウザが開く)。Community版のライセンスで有効化される。

5. 動作を確認する

  • 新規プロセスを作り、Message Boxで「こんにちは」を表示して実行する
  • Studioの画面右上のアカウント表示で、接続先の組織とテナントを確認する。表示の場所は、バージョンで変わる場合がある

Studio Webについて: ブラウザで動くStudio Webもある。インストールは要らず、Macでも使える。ただし画面はStudio Desktopと別物である。この計画では、Studio Desktopを使う。

参照:UiPath Developers、Studio - Install Studio(公式ドキュメント)

4.4 UiPath製品の全体像を知る

インストールのあとに、30分ほどで行う。目的は、「今から学ぶStudioが、UiPath全体のどこにあるか」を知ることである。Academyの UiPath Platform の紹介(45分)を先に受けておくと、話が早い。

UiPathの公式サイトでは、製品を3つの層で説明している。

層役割主な製品・機能
Orchestration(調整)AI、人、システムをまたいで仕事を調整するMaestro(Orchestrate、BPMN、Flow、Case)、Process Intelligence
Execution(実行)実際に仕事をこなすAgents、RPA、API automation、IDP(IXP)、HITL
Governance(統制)信頼と記録を担保するObservability、Agent registry、Compliance & audit、Data Fabric

公式サイトの説明は、「エージェントが考え、ロボットが動き、判断が要る場面では人が入る」である。

12週で中心になるのは、Execution層の RPA(決まった手順を、確実に実行する自動化)である。

製品一言で言うとこの計画での扱い
Studio(Desktop)自動化を作る開発環境。Windows用主役。第1週から使う
Robot作った自動化を実行する。人の画面で動くAttendedと、無人で動くUnattendedがある第8–9週で使う
OrchestratorRobotの配備、実行の起動、監視を一か所で管理する。QueueやAssetもここ第8–9週で学ぶ
Automation CloudUiPathのクラウド。Orchestratorなどの入り口第1週でアカウントを作る
Studio Webブラウザで動く開発環境。エージェントやAPI中心の自動化向け知っておく
UiPath CLI/UiPath for Coding AgentsAIコーディングエージェントと一緒に開発するためのツール第5週から段階的に使い、第10週で本格的に学ぶ

ほかの製品(Maestro、Agents、IXP、Integration Service、Apps、Autopilot、Test Cloud)は、名前と役割を知っておけばよい。

RPAの開発は、次の流れをぐるぐる回す。第1〜7週は「作る」を中心に学び、第8週から「発行する」「動かす」「見る」を学ぶ。

講義のあとに、本人に次の3つを聞く。

  • 今日インストールしたStudioは、この図のどこか
  • Robotは、Studioと別のものか。なぜ分かれているのか
  • Orchestratorの役割を、自分の言葉で説明できるか

4.5 日別の内容

日1:環境構築と最初のプロセス

日2:変数とデータ型、式(VB.NET)

' Assignの右辺の例(VB.NET)
message = userName + "さんは" + age.ToString + "歳です"
  • 型が違うとエラーになる場面を、わざと起こして見る(例:Int32の変数に "20" を入れる)。CInt("20") で直す

日3:条件分岐

  • Academy:Studio での制御フロー(日3〜日4で受ける)
  • If(条件と、真・偽の分岐)、Switch
  • 練習:数値を入力して、大きさによって別のメッセージを出す

制御フローは、やりたいことで選ぶ。

日4:繰り返しとファイル操作

日5:ハンズオン課題の仕上げ

  • 4.6の課題を、何も見ずに作り直す
  • 週の振り返り(8.2)

4.6 ハンズオン課題:ファイルの仕分け

項目内容
入力拡張子の違うダミーファイルを入れた練習用フォルダ
出力拡張子ごとのフォルダに仕分けられたファイル、処理件数のログ
完了条件初めて使うフォルダでも、エラーなく最後まで動く

準備

練習用のフォルダを作り、拡張子の違うダミーファイルを入れる(例:txt、pdf、xlsx、jpg)。実在の顧客ファイルは使わない。

実行前と実行後のイメージ。

処理の流れ

式の例(VB.NET)

For Each File in Folderが1件ずつ渡す変数の名前は、アクティビティの既定の名前に合わせて読み替える(ここでは CurrentFile)。

' 拡張子を取り出す(例:".txt" → "txt")
ext = System.IO.Path.GetExtension(CurrentFile.FullName).TrimStart("."c).ToLower

' 保存先フォルダのパス
destFolder = System.IO.Path.Combine(rootFolder, ext)

' 移動先のファイルパス(Move Fileの移動先に使う)
destPath = System.IO.Path.Combine(destFolder, CurrentFile.Name)

' 件数を数える
count = count + 1

発展(余裕があれば)

  • 拡張子のないファイルを、「その他」フォルダへ入れる(ext が空文字のとき)
  • 同じ名前のファイルが保存先にあるときの扱いを決める

自己チェック

  • 初めて実行するフォルダでも、エラーなく最後まで動く
  • 処理件数が、ログで確認できる
  • 変数の名前を見て、何が入っているか分かる
  • 各アクティビティの役割を、自分の言葉で説明できる

5. IT基礎 Line

この週は、ファイルとパスに関わる基礎を学ぶ。単独の座学にせず、ハンズオン課題で使う場面と結びつける。

学習点内容対応するRPAの場面
OSプロセス、ユーザーStudioやブラウザが、どのユーザーで動いているか
ファイルシステム絶対パスと相対パス、拡張子、UNCパス(\\サーバー名\共有名)Studioからファイルを指定するとき。仕分けで拡張子を取り出すとき
コマンドラインcd、dir、copyファイルの場所を確認し、プロセスの結果を目で確かめるとき
環境変数%USERPROFILE%、%LocalAppData% などユーザーごとに違うフォルダ(デスクトップなど)を指定するとき

絶対パスは、ドライブから目的の場所までを全部書く。相対パスは、今いる場所からの道のりだけを書く。

  • 絶対パスの例:C:\Users\ユーザー名\Desktop\練習フォルダ\txt
  • 相対パスの例(練習フォルダにいるとき):.\txt

練習として、ハンズオン課題を実行したあと、コマンドラインで仕分け結果を確認する。

cd $env:USERPROFILE\Desktop\練習フォルダ
dir
dir .\txt

6. Coding Agent Line

6.1 この週の役割:コーチ

  • 本人:先に手を動かす
  • AI:解説に徹する。答えを出さず、ヒントを出す

12週でのAIの役割は、コーチ → レビュアー → ペア作業と上がる。第1週は、いちばん左の段階である。

6.2 Claude Codeを入れる

npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude --version

起動したら、最初に「日本語で答えてください」と伝える。毎回伝えるのが面倒なら、ユーザー設定のファイル(%USERPROFILE%\.claude\CLAUDE.md)に、「日本語で回答する」と1行書いておく。

6.3 頼み方の例

答えを直接もらわず、ヒントをもらう。

答えは言わずに、次に確認すべき点だけ教えてください。

エラーは、先に自分で読み、自分の理解を書いてから聞く。

このエラーメッセージを、初心者向けに説明してください。
先に自分の理解を書きます:
(ここに自分の理解を書く)

エラー内容:
(ここにエラーを貼り付ける)

6.4 顧客資料の取り扱いルールを決める

mentorと、次の3つを分けて決める。決めた内容は、第2週以降もずっと使う。

資料をAIに渡す前は、次の順で判断する。区分の中身は、mentorと決めたルールに従う。

区分内容(mentorと記入)決めること
AIに渡してよいもの
マスクすれば渡してよいものマスクの手順
渡してはいけないもの

あわせて、AIをつなぐ先も決めておく。学習中は、個人のCommunityテナントだけを使い、客先のテナントにはつながない。

7. 困ったら

症状確認すること
インストーラーが見つからないAutomation Cloudにサインインしているか。ヘルプ(?)メニューのDownloads、Resource Centerを探す
ダウンロードが止まるChromeまたはEdgeで試す。社内ネットワークの制限がないか
インストールできないQuickを選んでいるか。管理者権限が要る設定になっていないか
サインインできないアカウントのメール認証が済んでいるか。ブラウザで cloud.uipath.com に入れるか
画面が教材と違うCommunity版は最新版のみ。教材の画面は古い場合がある。公式ドキュメントを基準にする
Assignで型のエラーが出る左辺の変数の型と、右辺の値の型が合っているか。CStr、CInt、.ToString で変換する
npm が見つからないNode.jsが入っているか。インストール後に、新しいPowerShellを開き直す

エラーが出たら、まず自分でエラー文を読む。そのうえで、エラー文、実行した操作、直前に変えたことをまとめて、Claude Codeに聞く(6.3)。

8. まとめ・次の一歩

8.1 到達目標チェック

  • Community版のStudioがインストールされ、サインインできている
  • Studio、Robot、Orchestratorの役割を、自分の言葉で説明できる
  • ひとりでStudioを開き、新しいプロセスを作って実行できる
  • 変数とデータ型、VB.NETの式の基本を、自分の言葉で説明できる
  • If、For Eachを使ったプロセスを作れる
  • ファイルの仕分けのプロセスを、何も見ずに作り直せる
  • 顧客資料の取り扱いルールが決まっている

8.2 振り返り

  • 今週いちばん詰まったところは何か。どう解決したか
  • Claude Codeに聞いた内容のうち、聞かなくても分かったものはあったか
  • 来週(データを扱う)の前に、復習したいところはあるか

この週の核心は、「動くものを、自分の手で1つ作りきる」ことにある。仕分けのプロセスで使った変数、式、For Each、ファイル操作は、第2週以降のExcelやDataTableの処理でも、そのまま土台になる。

8.3 参考リンク

8.4 次週

第2週:データを扱う(Excel、DataTable、CSV、文字列)。